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2015.07.14

オペラ創造ワークショップ&バックステージツアーが開催されました!

13日、開幕直前のKOBELCO大ホールで、ワークショップ&バックステージツアーが開催されました。どのような意図で今回の『椿姫』が創られてきたのか、そのポイントが解説されました!

【出演】
ロッコ・モルテッリーティ(演出)
イタロ・グラッシ(装置デザイン)
カルメラ・ラチェレンツァ(衣裳デザイン)
ルチアーノ・ノヴェッリ(照明デザイン)
佐渡 裕(指揮、兵庫県立芸術文化センター芸術監督)

【司会】
小栗哲家(プロデューサー)

冒頭、開館10周年ということで、これまでに上演されたプロデュースオペラの写真をLEDパネルに投影。美しい舞台写真で10年を振り返りました。
その後、本日の登壇者が入場。はじめにイタリアで映画監督としても活躍する演出家のロッコ・モルテッリーティさんが、今回の演出プランについて解説しました。まず、「このようなストーリーは、現代など他の時代に置き換えてしまうと意味をなさない。(原作通り)19世紀の設定でやりたかった。だからといって、古くさくはしたくなかった。演劇、オペラと映像を組み合わせることで、新たなオペラの世界ができると思った」「映像によって人物の心理的な変化をより描けるのではないかと思った。」と説明しました。また、「オペラは音楽がすべてを語るもの。ヴェルディの作品には繊細なこと、人間的なことがすべて書かれているので、その点に忠実に演出した」ということをお話ししました。お話の最後には、もともとコメディア・デ・ラルテ(中世イタリア発祥の仮面劇)の役者であったモルテッリーティさんが、特別にアルレッキーノ(コメディア・デ・ラルテの代表的な登場人物)の役を演じ、会場は笑いに包まれました。

次に、装置デザイナーのグラッシさんが装置プランについてお話ししました。今回は、巨大なLEDパネルが舞台セットとなって、そこに映される映像が物語を表現していきます。グラッシさんは「台本や楽譜に書かれていない、人物の動きや感情を、歌手や音楽を邪魔せずに表現する映像を考えた。」と説明。また、「(映像を投影しない場面では)黒い空間を作りたかった。その空間で照明を当てることで、人物を浮かび上がらせることができる。」と話しました。しかしながら、映像を音楽と合わせるのは至難の技だったそうで、開幕ぎりぎりまで細かい調整が続けられてきました。「普通のセットを組むよりも、今回のように映像を使う方が何倍も大変だった」と冗談交じりにお話ししました。

続いて衣裳デザイナーのカルメラ・ラチェレンツァさん。衣裳の時代設定も、1850年代頃を想定してデザインされました。「このオペラは2つの大きな場面に分かれる。第1幕のヴィオレッタの家でのパーティの衣裳には明るい色を使い、第2幕第2場のフローラの家でのパーティでは暗い色の衣裳を使って、ヴィオレッタだけが明るめのドレスを着ています。」と説明しました。ちなみにこれらの衣裳は、ローマのティレッリ社という伝統ある衣裳工房でつくられたものだそうです。 最後に、照明デザイナーのルチアーノ・ノヴェッリさん。「今回の照明プランはとても複雑で大変なものだった。ショービジネスで使われ得るすべてのテクノロジーが使われている」といいます。LEDとの兼ね合いは勿論、床にあたる反射光まで計算されて作られている美しい照明にもご注目を。
その後、実際にLEDパネルを使っての映像の実演も行われました。技術の進歩ってすごい!!

続いては音楽について、佐渡監督からのお話。「今回、音楽的にも上手くいっている。その理由はいろんな意味でまぜこぜのキャストにあるのかも。」という佐渡監督。日本人と外国人、それから今までのプロデュースオペラに何度も出てくれている人と今回が初めての人が混じり合っていて、2組ともそれぞれにすばらしく、違った味わいが出ているということです。
ヴェルディの音楽については、「本当によくできている。構成もよくできていて、劇場に来るお客さんの心理、時間の感じ方も良く分かっているなと思います。また、ヴェルディの音楽はすべてがちゃんと譜面に書かれていて、やることがはっきりしている。そしてシンプル。PACオケにも合っていると思います」とお話ししました。

その後に行われたバックステージツアーでは、お客様も舞台上に上がり、装置や衣裳、小道具を間近に見学していただきました。

さまざまなアイディアのなかで作られてきた『椿姫』の舞台。華やかな世界で繰り広げられる美しき悲恋の物語に、ご期待ください。

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