愛に憧れ、夢に生きる―ボヘミアンの青春を甘美な旋律で紡ぐ「冷たい手を」「私の名前はミミ」「私が街を歩けば」プッチーニ、永遠の名作

作品紹介

2021年の佐渡裕芸術監督プロデュースオペラは、“オペレッタ銀の時代”を彩るレハールの「メリー・ウィドウ」。2008年に上演し大きな反響を呼んだ作品が時を経て、とびきりの楽しさはそのままに、新たなキャストで贈る”改訂新制作”を果たします!
物語の舞台は、経済的、文化的に華開いた1900年頃のパリ。思わず口ずさみたくなるような美しいメロディが散りばめられた煌びやかなコメディは、ウィーンで初演されるや500回も連続上演されるほどの人気オペレッタとなり、今なお人々を魅了し続けています。活き活きとしたダンスナンバーも随所に盛り込まれ、19世紀にウィーンからヨーロッパへと広まったワルツや、パリで流行したフレンチ・カンカン、東欧のエキゾチシズム漂う舞曲などが舞台を賑わします。そして観るものをどこまでも笑いに包む風刺の数々…。のちにアメリカへ渡りミュージカルへと展開した、総合的エンターテイメント=オペレッタの、まさに金字塔というべき名作です!

ストーリーSTORY

パリ。東欧の小国ポンテヴェドロの公使館では、国王の誕生日を祝す夜会の中、公使のツェータ男爵が気を揉んでいる。莫大な財産を相続した未亡人ハンナ・グラヴァリがもし外国人と結婚すれば、ポンテヴェドロの財産が国外へ流れ、国は破産してしまうからだ。ツェータ男爵は、彼女を昔の恋人ダニロと元の鞘に収めることで、財産流出を防ごうと画策。再会したハンナとダニロ。しかし二人は意地を張り、なかなか歩み寄れない。
翌日のハンナ邸での夜会。次第に良い雰囲気になるハンナとダニロ。一方、ツェータ男爵の妻ヴァランシエンヌは、パリのプレイボーイ カミーユと密会中。男爵に踏み込まれる寸前で、機転を利かせたハンナがヴァランシエンヌと入れ替わり、カミーユと登場。そしてなんとカミーユとの婚約を発表してしまう。
国家の危機か、大団円か?!大人の恋とお金をめぐる騒動の結末は…?

登場人物
登場人物
底抜けに楽しい!
“佐渡メリー”がパワーアップ?!

兵庫県立芸術文化センターの「メリー・ウィドウ」、その特徴はなんといっても関西らしい徹底したエンターテイメント性。阪神間文化の大先輩・宝塚歌劇風の演出や、お笑いの要素を「これでもか」と盛り込んだ“兵庫でしか上演できないオペレッタ”で、佐渡裕芸術監督も深い思い入れを持つ記念碑的な作品です!
その立役者はエンターテイメント業界を知り尽くした演出家・広渡勲。そしてロンドン生まれ・ドイツで活躍するサイモン・ホルズワースのお洒落な舞台装置、イタリアのスティーヴ・アルメリーギの手掛ける当時の雰囲気そのままの豪華な衣裳に、たちまちハートが奪われます!

キャスティングも豪華絢爛! ヒロイン・ハンナには、歌唱力も華も備えた2人のプリマドンナ。初登場、いち早く聴きたい次代のスター高野百合絵と、いまや日本を代表するソプラノ並河寿美のダブルキャスト!相手役のダニロには、進境著しい注目のバリトン黒田祐貴(※)、2008年の上演で同役を好演した大山大輔というこの上ない2組!絶妙なアンサンブルを繰り広げる歌手陣は、プロデュースオペラでおなじみの面々からフレッシュな逸材まで、充実の布陣。さらに、上方落語の重鎮・桂文枝、宝塚歌劇団元トップスター香寿たつきが一層の華を添えます。
新型コロナウイルスの感染対策も徹底しながら、最高のエンターテイメントを刷新する2021年の挑戦。これまでの15年にわたるプロデュースオペラの実績、近年の日本オペラ界の躍進の上に、“いまが旬のメリー・ウィドウ”を新しく創りあげます! ※祐は示へんに右

2020年、開館15周年という記念の年ながら、新型コロナウイルスの影響により多くの公演が中止となり、
残念ながらプロデュースオペラ「ラ・ボエーム」も2022年へと延期となりました。
しかし7月以降、試行錯誤を重ねながらもお客様をお迎えできるようになり、改めて音楽を演奏し、皆様と共感する喜びを実感した一年でもありました。まだ落ち着かない日々が続きますが、こういうときだからこそ、
2021年は底抜けに楽しいオペレッタをお贈りします。
びっくり箱のような楽しみが詰め込まれた「メリー・ウィドウ」
に、たくさんのお客様の笑顔と拍手が溢れた13年前。
本当に兵庫らしい舞台ができたと、
確かな手ごたえを感じたことは、このプロデュースオペラ
シリーズにとって大きな財産となり、私自身も深く印象に
残っています。この夏、さらにパワーアップした、
芸術文化センターならではの喜びと明るさの溢れた舞台を
作りたいと思います。

佐渡 裕

2008年「メリー・ウィドウ」カーテンコール 2008年「メリー・ウィドウ」カーテンコール